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HubSpot SalesHubの「リードの管理」で見込み顧客に対する活動を見直す

作成者: soma|2023/11/24 12:27:28

今回はHubSpot SalesHubに新たに追加された「リード」オブジェクトについて紹介します。

  1. 新たに追加された「リード」オブジェクトとは
  2. 混乱しないための概念理解
    1. ライフサイクルステージ「リード」との違い
    2. コンタクトオブジェクト「リードステータス」との違い
  3. リードの追加方法
  4. リードの管理
  5. リードのアクティビティに応じた自動化
  6. レポートでリードに対する営業活動を可視化
  7. まとめ

新たに追加された「リード」オブジェクトとは

リードオブジェクトは営業活動管理スペース(英語版ではprospecting workspace)の一タブに用意されている見込み客の管理をより効率的に行うために用意されたものです。
※営業活動管理ワークスペースのリード管理は、SalesHub Proプラン以上で有償シートを割り振られたユーザーの方がご利用になれます。

リードでは、自身が担当しているコンタクト(あるいは会社)に対して、「有望(ホット)」「コールド」のようなラベルを付与できます。

加えて、営業担当者のアクションと見込み客のアクティビティーによってパイプラインのステージが割り当てることが可能です。さらに、ワークフローで効率化できる箇所も増えています。

上記のようなリードの整理や優先順位設定が可能になったことで、営業担当者はより柔軟に営業活動ができるようになり、マネージャーとしては営業プロセスのパフォーマンス分析をより詳細に行えるようになりました

さて、新たに追加されたリードオブジェクトですが、すでにHubSpot内にはいくつか「リード」と呼ばれるものがあり混乱している方も多いのではないでしょうか?

混乱しないための概念理解

こういう時にまず意識すべきは、このオブジェクトがHubSpotのどこに配置されているか、です。

このリードオブジェクトは、営業活動管理スペース(prospecting workspace)に内包されています。そうすると、このオブジェクトは、見込み客への営業活動(prospecting activities)を効率的に管理するために用意された、考えるのが良さそうだ、という風になります。

事実、HubSpotはこの「リード」は、取引やタスクのようなコンタクトや会社レコードに関連付けられるセカンダリーオブジェクトであると説明しています。

ライフサイクルステージ「リード」との違い

コンタクトオブジェクトのライフサイクルステージは、マーケティングプロセスや営業プロセスの中のどの段階にあるかを分類するために利用されます

各企業様によって設定は異なると思いますが、概ね「メールアドレスと名前を知っているユーザー」がそれにあたるのではないでしょうか?

一方で、新規で追加されたリードオブジェクトは上記でお伝えしたように、営業担当者が見込み客への営業活動(prospecting activities)を効率的に管理するために用意されたものです。

リードの追加方法の章でも改めて説明いたしますが、リードオブジェクトは「ライフサイクルステージに基づいてリードを作成」することになります。ですので、リードオブジェクトはライフサイクルステージを補完するものとイメージいただくのが良いかと思います。

コンタクトオブジェクト「リードステータス」との違い

「リードステータス」をご存知ない方に軽く説明をしますと、このプロパティは「コンタクトに関する営業、案件創出、アプローチのステータスを管理する」ためのものです。具体的には、マーケティング担当者からインサイドセールス、あるいは営業にリードを引き渡すシーンで利用されます。

以下がプロパティに格納されたラベルとその定義です。定義は、HubSpot Communityの弊社代表 田村のコメントを引用しております。プロパティの日本語訳が一部適切でないため、表記を意図的に変更しております(※取引開始 ← 進行中の取引)。

ステータス(ラベル) 内部名 定義
新規 NEW 電話等で連絡する新規SQLが発生(MQLのAさんに案件がある可能性があると判断 = SQLに昇格)
オープン OPEN インサイドセールスの担当者が決まったがアクションなし
進行中 IN_PROGRESS SQLに連絡が取れていて連絡をやり取りしている状態。案件化の手前
取引開始※ OPEN_DEAL 案件情報の明確化、Oppotunityとイコール
見込みなし UNQUALIFIED 案件もしくはSQLとして自社にマッチしない
連絡試行済み ATTEMPTED_TO_CONTACT 連絡をしようとしたが、連絡がついていない状態
接続済み CONNECTED 連絡がついたが、まだ予算化できていなどで今後正式に案件化する予定
タイミング悪し BAD_TIMING 時期が適切ではない

このプロパティを使ってリードのステータス管理を行うとした場合、コンタクト一覧のビューで各担当者ごとのフィルターをかけたり、リストを作成するなど、管理や効率、柔軟性、視認性といった様々な面で問題がありました。

この問題を解決するのが、リードオブジェクトで利用できるステージ管理になります。

リードステージ

新たに追加されたリードオブジェクトでは、ステータスの上に、「開始前」「進行中」「見込みあり」「見込みなし」といったステージの概念が付け加えられました。次の画像は、その「リードステージ」の設定画面になります(該当場所:⚙設定>データ管理>オブジェクト>リード)。

「開始前(Not started)」と「進行中(In progress)」がプロセスを指し、「見込みあり(Qualified)」と「見込みなし(Disqualified)」が結果を示しています。これらのステージを使うことで、パイプラインの商談管理に似た使い方ができるようになります。

画像は、リードステータスからリードステージに変えた場合の運用プロセスの例になります。ライフサイクルステージがSQLになったタイミングで、リードとして取り込まれる前提でご覧ください。

こうしてみると、リードステータスは、プロセス・結果・不成立理由といった、異なる要素が無理やりまとめられているように感じます。リードステージでの管理に切り替えることで、より簡単に営業プロセスの管理が行えるようになります。

少し長くなってしまいましたが、各要素との違いは以下のようにまとめることができます。

  • ライフサイクルステージ「リード」との違い:
    差異ではなく補完関係
  • コンタクト「リードステータス」との違い:
    上位互換

リードの追加方法

ここからは実際の設定方法や活用方法について紹介していきます。まずは、リードの追加方法についてです。
リードの管理画面にコンタクトを追加する方法は2通り(手動・自動)あります。

手動で追加する

手動で行う場合、画面左側にオレンジ色で表示されている「+リードを追加」から自身が担当となっているコンタクト(会社)を選択すれば管理画面に反映されます。その際、コンタクト名・会社名の下に「自分で作成」と表記が追加されます。

自動で追加するように設定する

初めて自動で取り込むように設定する場合、まずは「アクション」から「→リードを取り込む」をクリックしましょう。すると、コンタクトのライフサイクルステージから取り込みたい対象ステージを選択できます(この対象ステージには、自社で新たに作成したステージも含まれます)。

次に、一定期間(7日間、30日間、90日間、180日間のいずれか)のうちに対象のステージに入ったかを選び、「リードを取り込む」をクリックします。

この画面では「リード」に取り込むライフサイクルステージを設定できます。この設定をONにしておくことで、今後は自動的にコンタクトが取り込まれるようになります。また、リードが関連付けられたタイミングで、コンタクトのライフサイクルステージを更新させることもできます。

以上で設定は完了です。

リードの取り込みに関しては、「⚙設定>データ管理>オブジェクト>リード」の設定画面で、いつでも変更することができます。ライフサイクルステージに関しては、すでにワークフローで自動的に取り込めるようにしているユーザーの方と多いと思いますので、まずは「ライフサイクルステージに基づいてリードを作成」をONにしておくのをお勧めします。

ライフサイクルステージから自動で取り込む際に、画像では「SQL」に絞っていましたが、SQL以外ではダメだという訳ではありません。HubSpotでマーケティング活動をしておらず、主にSalesHubを使っている場合はビジターからの問い合わせ=リードという風に、即座に担当者を割り当てて連絡をされる会社様もおられると思います。あくまで自社の設定したライフサイクルステージに応じて設定ください。

リードの管理

リードのタブに戻って、実際の使い方について説明していきます。各リードの詳細を開くようにリード名の箇所をクリックすると、画像のようにステージとこれまでのコミュニケーションとアクティビティーの詳細を追うことができます。

コンタクトの詳細画面と同じように、この画面から直接リードにメールを送ることもできます。リードステージの設定により、メール送信後は、ステージが「試行中」に移動されます。

たとえ一度「見込みなし」としてリードから除外しても、再度取り込んだ際に過去の「見込みなしの理由」をわかりやすい箇所に出してくれます。このおかげで、再ナーチャリング後の取り込みで過去のデータを見ながら、コミュニケーションを考えることが可能です。

「🗓カレンダー」マークの右側に「シーケンスを作成」があるため、営業メールの送信も容易となっています。

その他には、ステージ移動に向けて、次回のアクティビティーをタスクとしてスケジュールできます。選択できるタスクは標準通り「Todo」「Eメール」「コール」の3つになります。

営業活動により特化し、担当者が違う画面に移動しなくてもいいような工夫がみられますね。

リードを使った営業活動の効率化と成果の可視化

リードには「ラベル」というプロパティが存在します。「コールド(低確度)」「反応が良い」「有望」の3つが用意されています(英語版ではCold, Warm, Hot)。このラベルは手動での入力も可能ですが、各ラベルの条件を事前に定義し、ワークフローで自動化させることもできます。

リードの優先度合いを自動化で判別

例えば、やり取りをしているリードが価格ページ(あるいは事例ページ)を見ていた場合、価格キャンペーンの話や事例をまとめた資料の提供といったアクションを、過去連絡していた担当者から行うことが有効かもしれません。

その他には、キャンペーンのマーケティングEメールのリンクをクリックした、フォームを入力したといったイベントがホットリードの判断材料として使えるでしょう。

リードのホットな状態を見逃さず、アプローチを即座に行うことは非常に重要です。

一方で、リードに取り込まれたものの、連絡が取れず、あまり反応がよろしくない見込み客に対しては、担当者の負担を減らすためのコミュニケーションの一部自動化を考慮する必要もあります。あるいは再度興味を持ってもらうためのHeating Eventを用意する(セグメントに合ったウェビナーの紹介メール、Eメールに動画を複数埋め込む)など。

そういった有効か否かの部分をなるべく自動化することも、リードの使用を開始する前に整理しておきたいですね。

リードのステージ進行状況をレポートで可視化

リードを活用し始めると、各担当者ごとに何件のリードを抱えているか、リードに取り込まれてからコミュニケーションを取るまでの平均時間はいくらか、といった疑問が出てくると思います。

そんな時はリードファネル レポートを確認しましょう。リードタブの「アクション」からセールスアナリティクスの該当レポートに遷移することができます。

リードファネルでは「リード」と「リードジャーニー」の2つのタブが用意されています。「リード」ではリードステージにあるリードの対応状況や取引の作成数、初回連絡までの平均時間などをグラフで確認できます。

「リードジャーニー」では、ライフサイクルステージ〜リードステージ〜パイプラインの各ステージを選択し、それぞれの遷移数・進捗状況をファネル(あるいはサンキー)で確認することができます。

各ステップごとのコンバージョンや各ステップに移動するまでの時間を追うのに使えるレポートとなっています。

【OnePoint Tips】INBOUND2023「Turn HubSpot Into the Ultimate Sales Engagement Platform」で学んだ営業支援プロセス

9月ボストンで行われたINBOUND 2023では、コール&SMS連携のアプリ「KIXIE」を提供しているデイビッド・ゲーブル氏とアルド・バルバジョバンニ氏の「Turn HubSpot Into the Ultimate Sales Engagement Platform」というセッションに参加しました。

リードには「Warm Lead」と「Cold Lead」の2つがあり、セールスチームはそれぞれのリードに対して、どのような変化が起きているかを理解し、両者の状況に対応する戦略を構築する必要がある、というものでした。以下にざっくりとまとめたいと思います。

  • Warm Lead
    一般的にインバウンドリードを指す。積極的にソリューションを探しており、エンゲージメントも高い。
  • Cold Lead
    大半はアウトバウンドリード。意欲がなく、自身が問題を抱えていることに気付いていない可能性がある。

Warm Leadに対しては、見込み客がソリューションに辿り着くまでのプロセスから摩擦を全て取り除くことが重要と説明されていました。なぜなら、たとえWarm Leadだとしても、時間が経つにつれて冷えていってしまうからです。その時間が長ければ長いほどより冷たくなっていきます。インバウンドリードが問い合わせてきたタイミングで営業が連絡を入れるために必要な考え方がスピード・トゥ・リードになります。

<スピード・トゥ・リード>
このコンセプトは、即時にアプローチする重要性を強調しています。ワークフローを使ってローテーションに基づいて担当者にリードを割り当てるのではなく、すべての担当者にシグナルを送ります。最初に対応可能な担当者がリードに関与する必要があります。これにより、社内プロセスよりも顧客の体験が優先されるようになります。

トリガー条件の参考例:
• 料金ページを訪問した
• マーケティングEメールを開封した
• 新たにフォーム送信を行なった

(商談化・見込みなしというステージ移動が起こらない場合)私たちのリードは暖かくなったり冷えたりといった状態を常に行き来しています。

たとえ、対応していたリードが冷たくなってしまっても、そこから再度暖めるための継続的なフォローアップアクションを設計しましょう。そうすれば、アクションをフックにワークフローでプロセスを組むことで絶えず循環した流れを作ることができます。

まとめ

リードの管理が新機能として発表されて約1ヶ月以上の時間が経ちましたが、営業活動管理ワークスペースの他タブと比べて、まだまだ積極的に活用されている方が少ない印象を受けます。...こんなことを言うと、そもそもSalesHubを入れたばっかりでそんな新機能のところまで手が回らないよ、という声が聞こえてきそうですね。

実際、この機能はなくてもSalesHubをSFAとして利用することはできます。ただ、今後マーケティングとセールスの連携を上手くやっていきたいとなった時に、この機能を上手く使えるかどうかで営業担当者の負担というのが大きく変わってくるのでは、とも考えております。

まだまだベータ版のため、今後も継続的なアップデートが予想されます。今後も更新があり次第、記事自体の内容もアップデートしてまいります。お読みいただきありがとうございました。