HubSpotバイヤーインテント(購入者の興味関心)機能の活用方法
購入者の興味関心(バイヤーインテント)を使用することで、ウェブサイトを訪問して貴社ブランドへの関心を示している会社を導き出すことができます。
バイヤーインテント(購入者の興味関心)とは
この機能、元はClearbitというB2B向けデータエンリッチメントツールの機能ですが、2023年11月にHubSpotが買収して以降、CRM内のデータを充実させるための大きな役割を担ってきました。
その機能の1つが「購入者の興味関心(バイヤーインテント)」です。
トラッキングコードを設置したページにアクセスした匿名の訪問者をリバース(逆引き)IPで以下のようなデータを収集します。
- IPアドレスに関連付けられている会社のドメイン
- アクセスされたウェブページ
- アクセス時のタイムスタンプ
そこに加えて、企業の売上や従業員数、利用しているテクノロジーなどのデータをHubSpotに加えることができます。CRMにそれらのデータを追加するには、Breeze Intelligenceを利用するための課金が必要なのですが、匿名訪問者の会社をIPで逆引きするだけなら無料から使えてしまいます。
注:無料は表示できる企業数に上限あり
もしまだ見たことがないという方がいれば、HubSpotの画面左のバー「マーケティング」>「購入者の興味関心」から簡単に閲覧できますのでぜひこの機会に試してみてください。
訪問者(リバースIP)の見方・使用法
先ほどの画像がIP解析によって特定された企業の一覧です。その一覧の左側「👁️」のアイコンをクリックすると、訪問者アクティビティーとして以下の4つを確認できます。
- 上位のページ
- 最近のページ
- 概要
- コンタクト
訪問者アクティビティーの概要
では各機能について順に説明していきます。まずはページ追跡に関する機能から。
上位のページ・最近のページ
上位のページでは、対象企業がどんなページを見ていたのか、その訪問数と訪問日時をざっくりと確認できます。「興味関心」のタグは後述しますが、事前にいくつかのページを訪れた企業を興味関心の条件として指定できるので、その条件に当てはまったページにタグがついています。
最近のページでは訪問時間が加わり、直近でどのページを見ていたかを追うことができます。ちなみにページ上の「先月」と記載されているのは訪問者のフィルター条件によるもので、今月や過去30日といった別時間枠の指定も可能です。
◼︎複数ドメインのサポート
2025年6月上旬のアップデートにより、これまではページパスのみの表示でしたが、訪問者のアクティビティを完全なURL単位で表示し、セグメント化できるようになりました。
これにより、例えばHubSpotで複数のブランドの異なるウェブサイトを管理している場合、ブランドXのサイトとブランドYのサイトへの訪問を簡単に区別でき、より明確に把握できます。
また、企業が単にサイト訪問(例: hubspot.com)しているだけか、製品を積極的に使用しているか(例: app.hubspot.com)を確認することで、より適切なアクションを実行できるようになります。
会社概要
概要ではHubSpotが取得した企業の説明・業種・従業員数の範囲・国を確認できます。これらは会社プロパティーですでに用意されているものでもあり、会社レコードを追加した後に自動、あるいは手動で入れることで企業データを拡充できます。
6/2にBreeze IntelligenceクレジットがHubSpot クレジットに変わった影響で下記のレコード追加と除外対象ができるようになっています。これにより手動で入力する必要がなくなりました。
機能 | 概要 |
会社レコードや静的リスト、ワークフローに追加 | HubSpotクレジットを消費することで「購入者の興味関心」画面の+から、直接追加ができるようになっています。 |
除外対象 | 購入者の興味関心の概要と会社タブ、保存済みビュー、自動追加、EメールダイジェストがすでにCRMに存在していても、最大100件の会社を除外できます。この行為にはクレジットを消費しません。 |
コンタクト
ここでは会社に紐づくコンタクトの一覧とこれまでのアクティビティーとエンゲージメントを確認できます。具体的には、コールやミーティング、1対1のメールのやり取りなどが行われた最新の日付・時刻になります。スケジュールには次回のミーティングの日付が記録されます。
ターゲット市場の設定方法
バイヤーインテントの設定画面では特定のターゲット市場を追加できます。さらに訪問数、訪問者(ユニーク)数に基づく企業レベルの興味関心も定義可能です。
TAM(実現可能な最大市場規模)とターゲット市場
ターゲティングするそれぞれの市場セグメントのプロファイルを作成でき、適合度の高いサイトの訪問者に集中できます。設定することで興味関心ファネルレポートによる可視化が可能になります。
- 業種
- 会社のキーワード
- 従業員数の範囲
- 会社の国
- 会社の都道府県/地区(正式名)
- 会社の市区町村
- ウェブテクノロジー
- 収益
設定したセグメントに該当する企業には「ターゲット市場」のタグが付与されます。
訪問者の興味関心条件
興味関心では、包含、除外対象、推奨、設定の4タブが存在しますが、その中でも重要な包含と推奨、除外対象について説明します。
◼︎包含(Inclusion)
包含(Inclusion)タブでは、自社について調査中か、購入への関心を示しているかなど、サイト上での興味関心を特定する際に重要なページパス(価格や製品ページ)を設定します。
設定した条件に一致する訪問者に、「興味関心」を示しているタグが付けられます。
◼︎推奨(Recommendations)
推奨タブでは、目標ステージと目標達成期間を設定できます。目標ステージでは、ライフサイクルステージと取引パイプラインのステージの中から複数選ぶことができます。
そのステージに到達した際のコンバージョンデータに基づいてページパスが推奨されます。目標達成期間は、選択した目標ステージへのコンバージョンが追跡および分析される期間になります。
◼︎除外条件(Exclusions)
除外対象では、訪問者が購入の興味関心を示していないウェブサイト上でのアクティビティーやパス(例:/careers などの採用ページの閲覧)を除外します。
リサーチ(情報への興味関心)- ベータ機能
調査タブでは、過去訪問歴がある会社に加えて、サイトにアクセスしていない段階で誰が購入する可能性が高いのかを見ることができます。
この機能を使用すれば、自社の製品やサービスに関連するトピックについて調査している会社を調査レベル(高・並・中・低)に応じてピックアップしてくれます。
バイヤーインテントとHubSpotクレジット
Breeze IntelligenceはHubSpotが提供するコンタクトや会社の情報を充実させる機能です。バイヤーインテント(購入者の興味関心)機能においては、課金するクレジット数に応じて以下の機能が利用できるようになります。
注:6/2にBreeze IntelligenceクレジットはHubSpot クレジットに移行されます。HubSpotクレジット消費に関して記事を更新しました。詳細はこちらでご確認ください。
- HubSpotクレジットに関する基礎知識
https://soma24.net/blog/hubspot-credit-guide
下記の記事で紹介していることはHubSpotクレジットでおおよそできるようになっています。

脚注
HubSpot公式が出している参考記事
- 買い手の興味関心度を把握し、ビジネスに活用(製品ページ)
- 購入者の興味関心の構成
- 購入者の興味関心を使用する
- Breeze Intelligenceクレジットと請求について
- エンリッチメントのためのデータテスト(ベータ)
- Cookie 追跡設定と同意バナーを設定する

執筆者: Soma Nishioka
アユダンテ株式会社のコンテンツディレクターとしてSEOを考慮したコンテンツテーマの設計、検索ニーズを考慮した上位表示を狙う記事制作などに取り組む。その後、HubSpot Solution Partnerである株式会社100のコンサルタントとしてHubSpotの導入・運用支援を行う。運用支援の中で、インバウンドマーケティングに取り組む。
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