HubSpotで年齢を管理・更新する方法
toCのビジネスをしている場合、誕生日・月で施策を行うことがあると思います。その際に必要なデータをHubSpotでどう管理するのかを説明する記事となります。
取得する時は誕生日・生年月日(not 年齢)
HubSpotで管理する際、顧客から取得する情報は生年月日(日付型)にしましょう。年齢(数字型)は避けてください。理由としては日付から年齢を計算し毎年更新するのは可能ですが、年齢のみではその後の年度更新が不可能だからです。
HubSpot内での年齢管理は、誕生日(生年月日)を聞いた上でHubSpot内のワークフロー(あるいは外)で処理を行います。
今回はその処理はしたものとして、年次でどう年齢を更新していくかを説明します。
ワークフローで年齢を更新
「毎年、誕生日になったら〜する」を行うには、ワークフローの登録トリガーで「スケジュールに従って自動的に登録をトリガー」にして以下を設定します。
- 更新頻度:年次
- 日付プロパティ:誕生日(生年月日)
- 登録タイミング:当日
- 時刻:午前
次に、ワークフローのアクションにて「プロパティー値の増減」を選択し、年齢のプロパティーに数値を1増加させるように設定します。これで毎年、何もしなくても自動で年齢が更新されていきます。
(備考)HubSpot内で誕生日・生年月日から年齢を出したい場合
HubSpotで、誕生日・生年月日(日付プロパティー)から年齢(数値プロパティー)を処理して出したい場合は、Operations HubというHubのPro以上を契約する必要があります。
(...契約中・予定という設定で進めます)
2025年5月上旬、BreezeというHubSpotに内蔵されたAIを使用したアクションがワークフローに追加されました。これにより、Operations Hubを利用しなくても誕生日・生年月日(日付プロパティー)から年齢(数値プロパティー)を処理できるようになりました。
データを諸々格納するプロパティーが必要になるので、ワークフロー作成の前にいくつか作成します。下記は、あくまで例なので名前や内部名は各自、適切なものを利用ください。
ワークフローで使用したコンタクトプロパティー例
名前 | 内部名 | 形式 |
年齢 | age | 数値 |
生年月日 | birthdate | 日付入力 |
最終変更日 |
lastmodifieddate
|
日時入力※1 |
※1なお、「最終変更日」に関しては、HubSpotが元から提供してくれているプロパティーになります。何かしらのプロパティーが更新されたタイミングでこの値も変更されます。今回は「生年月日」がそのプロパティーとなります。
ワークフローのアクションフロー
- 登録トリガー:生年月日に値がある
- アクション1:Breezeに依頼
- アクション2:レコードを編集
どのプロパティーを使用するかが決まったところで、ワークフローについてです。登録トリガーに関しては複雑なものはなく「生年月日に値がある」を条件にすれば完了です。では以下で具体的なアクションについて紹介します。
アクション1:Breezeに依頼
メッセージを入力する
「Breezeに依頼」のアクションでは、プロパティーや別アクションで得られた結果をメッセージに組み込むことができます。これまでOperations Hubの「カスタムコード」や「データを書式設定」でしかできなかったアクションがメッセージ次第でできてしまうのです。
以下が今回利用したメッセージになります。
からまでの年齢を正確に計算してください。
計算方法:
1. 現在の年から生まれた年を引いてください
2. もし今年の誕生日がまだ来ていない場合は、結果から1を引いてください
3. 例えば、1990年5月15日生まれの人の2025年5月1日時点の年齢は34歳です(誕生日前のため)
4. 例えば、1990年5月15日生まれの人の2025年5月15日時点の年齢は35歳です(誕生日当日)
5. 例えば、1990年5月15日生まれの人の2025年5月16日時点の年齢は35歳です(誕生日後)
結果は数値でoutput_numに入るようにしてください
で囲まれているのが、プロパティーです。プロパティーは「データ変数を選択」から選べるので、自分で書く必要はありません。Breezeへのメッセージは必ず具体的にしましょう。「なんとなくー」や「いい感じで」といった命令は受け付けてくれません。メッセージに記したことのみでアクション結果を出力してきます。
そのアクション結果ですが、メッセージ下の「アクション出力」という箇所でデータ形式を設定できます。
今回は年齢を入れるために数値型が欲しかったので、「数値:output_num」を追加しました。output_numは自分が名付けただけなので、自分で編集して好きな返答に変えることができます。
このようにして完成したアクションは、「アクションをテスト」で実際にどんなデータが返ってくるのかを検証できます。
アクションをテストする
テストでは、サンプルとなるレコードを選び結果がどうなるかを確認できます。今回は無事成功しました。1997/12/15と設定した生年月日と最新変更日の差分から、27と数字で出力されています。
赤背景で覆われている「プロパティー:応答」には、どういう理由でその結果に至ったのかが記されます。
アクション2:レコードを編集
Breezeによって日付から年齢の数字を出力することはできましたが、その値はまだどのプロパティーにも入っていません。そこでアクション「レコードを編集」によって、プロパティーに値を入れるステップが必要なのです。
今回、Breezeによるアクション出力を入れたいのは「年齢」。そのためには「データ変数を選択」にてCRMプロパティー「登録されたコンタクト」ではなく、アクションプロパティー「1.Breezeに依頼」の「output_num」を選択する必要があります。
そうすれば、Breezeが出してくれた出力結果をプロパティーに入れることができます。これであとはワークフローを稼働させれば、生年月日が入ったタイミングで、その最新変更日と生年月日から現在の年齢を計算することが可能になります。
以上が、Breezeを使ったHubSpot内で誕生日・生年月日から年齢を算出する方法になります。その他、HubSpotの使い方や運用についてお悩みがあればぜひお気軽にご相談ください。
脚注・その他過去ログ
HubSpotナレッジベース
過去ログ
2025/5/12 追記前(Ask Breezeを使わない方法|現在、非推奨)
ワークフローで使用したコンタクトプロパティー例
名前 | 内部名 | 形式 |
年齢 | age | 数値 |
今日の日付 | today_date | 日付入力 |
生年月日 | birth_date | 日付入力 |
num型-今日の日付 | num_today_date | 数値 |
num型-生年月日 | num_birthdate | 数値 |
そして、以下の処理をワークフローで行います(Operations Hubはこの中のワークフローアクションで必要となっています)。
- 日付プロパティーを数値型プロパティーに変換
- ワークフローアクション:データを書式設定
※書式設定したプロパティーの値を格納するため、別途格納用のプロパティーが必要。上記参考にしてください。
使用関数:unixtimestamp(参考|HubSpotナレッジベース)
- ワークフローアクション:データを書式設定
- カスタム式で数値型プロパティーから年齢を算出
- ワークフローアクション:データを書式設定-カスタム式
- 今日の日付から生年月日を引く
- (必要な場合)ミリ秒単位を秒に戻す
- 31536000(または31557600)で割る
- ワークフローアクション:データを書式設定-カスタム式
上記をやれば、おそらく問題なく年齢が出力されるはずです。2の「カスタム式で数値型プロパティーから〜」の箇所は、ワークフローの処理が面倒であれば、計算プロパティーで代用する方法も使えます。
全てを計算プロパティーで済ませればよかったのですが、2025年3月時点ではunixtimestam関数は計算プロパティー内では利用できないため、このワークフローを使用しています。
さて、ここで使ったOperations Hub。HubSpotのデータマネジメントを本格的にやりたい、HubSpot内部でできる自動化の範囲を広げたいといった場合には非常に有効です。
ただ製品ページを見てもらえば分かりますが、単体で月額96,000円します(執筆当時)。
- 製品ページ:
https://www.hubspot.jp/products/operations
もし使いたい場合は、単体で契約するのではなく、Professional Customer Platformを契約することをお勧めします。
- Customer Platform 製品ページ:
https://www.hubspot.jp/pricing/suite?term=annual
投稿者: Soma Nishioka
アユダンテ株式会社のコンテンツディレクターとしてSEOを考慮したコンテンツテーマの設計、検索ニーズを考慮した上位表示を狙う記事制作などに取り組む。その後、HubSpot Solution Partnerである株式会社100のコンサルタントとしてHubSpotの導入・運用支援を行う。運用支援の中で、インバウンドマーケティングに取り組む。
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